側弯症とは
脊椎が横方向に異常に湾曲する病気です。正常な脊椎は前後に軽く湾曲しているものの、側弯症ではこれに加えて左右に曲がるため、脊椎がS字やC字の形になることがあります。
側弯症の症状
側弯症の症状は、背骨が左右に湾曲することによる肩や腰の高さの不均衡、体の傾き、および背中や腰の痛みです。
姿勢の変化
側弯症では、肩の高さが左右で異なり、一方の肩がもう一方よりも高くなる、片方の肩甲骨が背中から突出して非対称に見える、腰の高さが左右で異なりウエストラインが非対称になる、体が左右どちらかに傾いて全体的なバランスが崩れる、骨盤の高さが左右で異なり片方の腰が高く見えるなどの姿勢の変化が顕著に現れます。
背中や腰の痛み
側弯症では、脊椎の異常な湾曲によって背中や腰に持続的な痛みが生じることがあり、特に長時間同じ姿勢を保つことや、座ったり立ったりすることで痛みが増し、筋肉の緊張や炎症が原因となることが多く、痛みが日常生活や活動の制限を引き起こすことがあります。
可視的な脊椎の湾曲
側弯症では、脊椎が正常なS字カーブを超えて左右に異常に湾曲し、その結果、背中や腰にS字型またはC字型の湾曲が肉眼で確認でき、前屈した際には肋骨の一部が突出して見える(アダムス前屈テストで明瞭になる)ことがあり、これにより体の非対称性が明確になり、姿勢全体に顕著な歪みが生じます。
疲労感
側弯症では、脊椎の異常な湾曲により体幹のバランスが崩れるため、筋肉が常に緊張して補正しようとする結果、日常的に疲労感を感じやすく、立ったり座ったりすることが困難になるほか、長時間の活動や運動後には特に疲労感が増し、休息が必要になることが多くなります。
呼吸の問題
側弯症では、重度の脊椎の湾曲が胸郭を圧迫し、肺の膨張を妨げるため、深呼吸が難しくなり、日常的に息切れを感じることがあり、特に運動時や休息時に呼吸困難を伴うことがあり、これにより酸素供給が不足して疲労感が増し、活動の制限が生じることがあります。
神経症状
側弯症では、脊椎の異常な湾曲が神経を圧迫することにより、手足のしびれや筋力低下、さらには痛みや感覚の異常といった神経症状が現れることがあり、これらの症状は脊椎の湾曲の程度や圧迫される神経の部位によって異なり、日常生活や運動能力に支障をきたすことがあります。
側弯症の種類
側弯症の種類は、主に以下の4つに分類されます。
特発性側弯症
特発性側弯症は、原因が明確に特定されていない側弯症のことで、全体の約80%を占め、特に思春期の成長期に多く見られるが、遺伝的要因が関与していると考えられており、通常10歳前後に発症し、女子に多く見られる傾向があります。
先天性側弯症
先天性側弯症は、出生時に脊椎の形成不全や分節異常などの奇形が原因で生じるもので、生まれつき脊椎の異常が存在するため、早期に症状が現れることが特徴です。
神経筋性側弯症
神経筋性側弯症は、脳性麻痺や筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症などの神経筋疾患が原因で筋力低下や神経制御の障害が生じ、それによって脊椎が湾曲することによって発生します。
変性側弯症
変性側弯症は、加齢に伴う椎間板や椎骨の退行性変化や骨粗鬆症が原因で、成人後に発生するもので、高齢者に多く見られ、痛みや動きの制限が主な症状です。
側弯症にならない対策
側弯症の患者は、病気の進行を抑え、日常生活の質を維持するためにいくつかの注意点を守る必要があります。以下にその主な注意点をまとめます。
正しい姿勢の維持
座る時や立つ時に背筋を伸ばし、均等な体重配分を心がけます。長時間同じ姿勢を続けることは避け、定期的に姿勢を変えるようにしましょう。
定期的な診察
医師の指導に従い、定期的に診察を受けることで、側弯の進行や治療の効果をチェックします。特に成長期の子どもは頻繁な診察が必要です。
適度な運動
理学療法士の指導のもとで行う運動やストレッチは、筋力を維持し、姿勢を改善するのに役立ちます。過度な運動や背骨に負担をかける動作は避けるようにします。
ブレースの適切な使用
医師の指示に従い、ブレース(コルセット)を正しく装着し、指定された時間装着することが重要です。装着方法やフィット感に問題がある場合は、すぐに医師に相談します。
痛みの管理
側弯症に伴う痛みを管理するために、痛み止めの薬やその他の治療法を使用することがあります。痛みが続く場合は医師に相談し、適切な対策を講じます。
生活環境の調整
学校や職場で適切な姿勢を保てるよう、椅子やデスクの高さを調整します。重い荷物を持つ際は、両肩に均等に負担がかかるようにします。
心理的サポート
側弯症による心理的ストレスを軽減するために、カウンセリングやサポートグループの利用を検討します。家族や友人のサポートも重要です。
栄養管理
健康な骨の維持のために、カルシウムやビタミンDなどの栄養素を含むバランスの取れた食事を心がけます。
側弯症はどこで治療してもらえる?
整形外科
側弯症の診断から手術、リハビリテーションまで一貫した治療を提供します。手術やブレースの処方、理学療法の指導を行います。特に脊椎疾患に詳しい医師が在籍する整形外科、総合病院の整形外科外来、または側弯症に特化した専門クリニックで診断を受けることが推奨されます。診断には、視診、触診、X線撮影などの検査が含まれます。
リハビリテーション科
側弯症患者のためのリハビリテーションプログラムを提供します。理学療法や運動療法の指導を行います。
専門クリニック
側弯症の診断と治療に特化したクリニックで、ブレースの適用や理学療法の指導を専門に行います。
リハビリテーションセンター
側弯症患者向けのリハビリテーションプログラムを提供する施設です。理学療法士や運動療法士が常駐しています。
サポート施設の紹介
カウンセリングセンター
側弯症による心理的ストレスを軽減するためのカウンセリングサービスを提供します。専門のカウンセラーが相談に応じます。
患者サポートグループ
側弯症患者同士が情報交換や支え合いを行う場を提供します。定期的なミーティングや交流イベントがあります。
まとめ
側弯症患者は、適切な姿勢の維持、定期的な診察、適度な運動、ブレースの正しい使用、痛みの管理、生活環境の調整、心理的サポート、栄養管理に注意することで、病気の進行を防ぎ、生活の質を向上させることができます。医師や理学療法士の指導のもとで、これらのポイントを守ることが重要です。